今回は、趣味としてのカメラ(写真)とサイクリング(自転車)の親和性について考えてみます。
私は、このブログのテーマでもある「カメラを持ってサイクリングを楽しむ」というライフスタイルを実践しています。
よく、カメラ(写真)とサイクリング(自転車)は趣味としての親和性が高い、などと言われたりもしていますよね。
でも「カメラとサイクリングの親和性」と言われたとき、色々と言いたいことが出てきます。
カメラとサイクリングの親和性ってぶっちゃけ何のこと?
と考えてしまいます。
親和性を語るシーンでよく言われるのは
「サイクリング(自転車)で景色の綺麗なところなどに行って、写真にその景色を切り撮って残しておきたい欲求をカメラ(写真)で・・・。」
ということでしょう。
この視点から見れば、カメラとサイクリングとの相性はとても良いと言って間違いないです。
でも、よく考えると「サイクリング(自転車)」が「ドライブ(クルマ)」であっても「ツーリング(オートバイ)」であってもこの関係は変わらない。
あるいは「登山」としてもこの関係は成立するんです。
つまり、どこかに行って良い写真を撮るという点で、「趣味としてのカメラとサイクリングが特別に親和性が高いわけではない」ということです。
おいおい、「カメラを持ってサイクリング楽しもう」なんて言ってるのにそんなこと言っていいのか?
と思われた方、いえいえ大丈夫です。
カメラを持ってサイクリングすることは最高に楽しいですし、きれいな写真やカッコイイアングルで写真が撮れた時の嬉しさは格別です。
だから、カメラ(写真)とサイクリング(自転車)は両立する趣味ですし、そういったライフスタイルを提案する意味は十分にあると思っています。
でもでも、この2つの趣味を両立させていくには、いろいろと考えなければならないことがあることも事実です。
今回はそんなお話。
カメラ(写真)とサイクリング(自転車)の親和性の2つの視点
カメラ(写真)とサイクリング(自転車)の相性の良さを語るときによく言われるのは、
「カメラという趣味を掛け合わせることでサイクリングにより一層楽しさや深みが増す」
ということですよね。
具体的には、
◎残した写真を見返せるので感動をいつでも細かく思い出すことができる
◎自分の感動した景色を他の人とも共有できる
◎自分のライドの記録として残しておける(ライドの成長記録にもなる)
◎自分のロードバイク(自転車)を一緒に撮ることで、自分の自転車への愛着が深まる
◎カメラを持ち運ぶことで景色を見る目線が変わる(より印象に残る景色をさがすようになる)
などなど。
これはサイクリストが、カメラという趣味をかけあわせるとこんな相乗効果があるよ、ということ。
もともとサイクリングを趣味にしていた人がカメラを始める場合にはこんなことがきっかけになっているのではないでしょうか。
ちなみに、逆から考えて
「サイクリングという趣味を掛け合わせることでカメラ(写真)に一層の深みが増す」
という場合もあります。
具体的には、
◎自転車なら思ったところですぐに止まってじっくり撮影できる(移動手段としての利便性)
◎自転車やサイクリストという被写体を加えることで、自分の撮影バリエーションが広がる(撮影風景のバリエーション)
◎自動車やバイクなどより撮影にコストがかからない(コストセーブ)
などなど。
カメラでの写真撮影に、ロードバイクなどの自転車を使うことで、自分の撮影スタイルを広げることができます。
つまり、こちらはもともとはカメラ(写真)を趣味にしている人がサイクリングを始めるきっかけになるようなことです。
確かに、クルマで撮影に出かける場合、駐車場の有無や行き帰りのガソリン代や通行料などが気になります。
歩きの場合でも、行き帰りの交通費や時間などお金のかかることも結構あります。
自転車の良いところは、行き帰りの交通費もガソリン代もかからないこと。
これはコスト的には結構メリットだと思っています。
趣味をかけあわせることでもともとの趣味に付加価値が生まれる、という点がカメラとサイクリングの相性はとても良いといわれる所以です。
カメラとサイクリングのいいとこ取りっていう感じですね!
趣味としてのカメラ(写真)とサイクリング(自転車)との共通点
視点を変えて趣味としての共通点を考えてみましょう。
言わば、趣味としてハマる特徴が似ているよね、ということ。
いい意味でも悪い意味でも、カメラとサイクリングを趣味としてみたとき、いろんな点で共通点があります。
共通点 | カメラ(写真) | サイクリング(自転車) |
沼がある パーツにこだわる |
レンズ沼 |
ホイール沼 ヘルメット沼 サドル沼 など |
グレードやメーカーによる違い | それぞれのメーカーの特徴(得意分野・機能など)があり、エントリーモデルからプロ仕様まであり、人気の機種はシリーズ化されている | それぞれのメーカーの特徴(フレームの特徴・機能)があり、エントリーモデルからプロ仕様まであり、人気のフレームはシリーズ化されている |
価格帯 | 機種にもよるが、一眼カメラの場合はエントリーモデルはだいたいレンズセット10万円くらいから。スタンダードなミドルグレードで25〜35万円程度。 ハイエンドモデルだと100万円越えるモデルもある。 |
完成車としては、エントリーモデルが10〜20万円のものがある。ミドルグレードのモデルで30〜50万円。ハイエンドモデルだと100万超えのモデル。 |
性能差、機能差による違いが明確 | カメラの場合はセンサーサイズ。写真画質の差などが出てくる。 ①35mmフルサイズ(フルスペック):プロ仕様のハイエンドモデル。高級機。 ②APS-Cサイズ:プロがサブに使ったりするハイエンドモデル。中級機。 ③マイクロフォーサーズ:プロから初心者まで手軽に扱える性能と価格帯。 ④1インチサイズ:プロも使用するが、初心者のアップグレード的な位置づけ。高級コンデジやレンズ一体型のカメラ。 ⑤1/2.3インチサイズ:普及機レベルで一般使用を前提。今やスマホに画質で凌駕されつつあるカテゴリーかも。ただし、写真を撮ることだけに特化したカメラはスマホとは違った魅力もあります。 |
ロードバイク(自転車)の場合はコンポのグレード(便宜上シマノのグレードを例にします)による区分がそれにあたる。 |
中古として売却できる 財産としての価値がある |
カメラ本体もレンズも売却できるので、ある意味財産としての価値がある。 現在販売されていない名機と言われるものには定価以上の価値が出るものも! |
ロードバイクも売却できる。ホイールやサドルなどもパーツとして売却可能。財産としての価値がある。希少価値のあるバイクは高価格で取引される。 |
歴史的な価値 | カメラの歴史を紐解くと、現在に至るまでの長い歴史がある。 写真の世界は芸術として確率しており、カメラには文化がある。 |
自転車の歴史もサイクリングやレースの歴史は古い。 |
道具としての魅力がある | カメラは写真を撮る道具。 写真を撮るための機能を満載した機能美が存在する。 道具としてのメカニカルな雰囲気は趣味としての魅力を醸し出しており、マニアックな心をくすぐる。 古くなってもビンテージとして魅力的と評価されるものもある。 |
ロードバイクは走る道具。 |
なんだかよく似てませんか?
このように、カメラも自転車もプロがいて、ハイアマチュアというマニアの存在がありつつも、幅広く使われる道具であり、一般層でとくにこだわりなく普通に使う層までかなり幅広い層に使われる道具であるというところが共通点としてあげらると思います。
これは、親和性というより趣味としての共通の魅力をもっていると言ったほうが良いかもしれません。
カメラ(写真)とサイクリング(自転車)は趣味としては二律背反?
このように、カメラ(写真)とサイクリング(自転車)の趣味としての共通点を考えると、
カメラとサイクリング(自転車)は親和性どころかその逆、二律背反に近い!
カメラと自転車の相性は最悪だと言う人もいるのです。
先程のカメラとサイクリングの共通する趣味としての特徴を考えるとその理由が見えてきます。
お金がかかる趣味ということ
カメラにせよ自転車にせよ本格的に趣味にしていくと十万円単位でお金がかかります。
そして、ハイエンドのものを求めれば求めるほどお金に羽が生えて飛んでいきます。
どちらか一方でもかなりお金を掛けていくのに、それを2つもつことができる人って相当な財力が必要です。
だから、どちらかひとつにしておくべきでしょう、という主張です。
自転車とカメラをあわせるとどちらにも負の作用が生まれる
自転車、とくにロードバイクなどでライドをするときはできるだけ軽量化を目指します。
一方、できるだけ良い写真を撮るためには、カメラはより大きく、重たくなってくる。
カメラは振動や風雨、ホコリ、汗、直射日光、気温差による結露などは天敵だが、自転車はそのままの環境で走るからカメラにとって良いことはない。
自転車を走らせるという観点では、カメラを持って撮影スポットで停止ばかりしていて目的地になかなか着けない。
自転車で走る爽快感も失われる。
はっきり行って自転車にとってカメラは邪魔でしかない。
趣味としてのカメラと自転車のお金のかかり方や負の作用を考えるとこういった主張も出てきます。
両立するためのポイントは何か?
じゃぁ、どうすればいいの?
となりますよね。
今まで考えてきたように、カメラの良さ、自転車の良さをかけあわせる相乗効果はあります。
しかし、趣味にかけられるお金や自転車でカメラを持ち運ぶことに対する負の作用を考えなければいけません。
でもこれは二者択一の問題ではないのです。
サイクリングとカメラのどちらに軸足を置いて考えるかというバランスの問題です。
だから、両立は可能です。
要は、カメラも自転車も趣味として両立させるには結局どちらに軸足を置いて一方を考えるか、という問題に行き着きます。
カメラを始めたいサイクリストはどんなカメラを買うべきか
私のブログの読者はサイクリストの方が多いのではないかと思います。
そこで、今回はサイクリングに軸足を置いて、
サイクリストがカメラを持ち運ぶ場合に選ぶべきカメラ
という視点で考えます。
そうするカメラとサイクリングの共通点から出てくる金銭的負担や負の効果をできるだけ産まないことが必要です。
つまり、サイクリングの楽しみをできるだけスポイルしない程度でカメラを楽しむスタイルが前提となります。
その場合、カメラを選ぶポイントは、「なぜ自分はカメラを持っていくのか」をじっくりと考える必要があります。
サイクリングにカメラを持っていく目的によって持っていくべきカメラの要求される性能が変わってくるからです。
主な目的と持っていくべきカメラについてざっくりと表にしてみました。
カメラを持っていく目的 | サイクリストがカメラを始める場合 | おすすめするカメラの概要 |
記録のためで、どこに行ったか、誰と行ったかが分かれば良いレベル | スマホで充分 |
iPhone |
画質に拘りたいがスマホよりも少し背景ボケや望遠域での少し凝った写真も撮りたい | 高級コンデジ |
24mmから100mm以上の高倍率ズームがあると便利 |
画質はできるだけ白飛びや黒つぶれしないようにして、夜のライドも綺麗映える写真を撮りたい。 | 一眼カメラ(ミラーレス一眼) |
個人的には、マイクロフォーサーズのミラーレス一眼がおすすめ |
サイクリストにとって、カメラを持ち運ぶのはサイクリングで綺麗で印象的な写真を撮りたいという欲求を満たすためです。
もちろん写真コンテストに作品を出したいと思う方もいらっしゃるでしょうが、その場合でも重くてかさばるフルサイズを持ち運ぶよりは、マイクロフォーサーズの小型軽量のミラーレス一眼で折り合いをつけるほうが、サイクリングの爽快感をスポイルしなくて済むのではないでしょうか?
マイクロフォーサーズは機種によってはプロも使うカメラですし、それこそ使い方次第でかなりいい写真が撮れますよ。
カメラは自分が切り取りたいシーンを思い通りに切り取ってくれるすばらしい「道具」です。
写真の出来栄えは道具ではなく「腕」の問題だということがほとんどです。
持ち運ぶカメラの条件
サイクリングに持っていくカメラは、できるだけ小型軽量であるべきだと思います。
そしてできれば防塵防滴であると安心です(絶対条件ではないです)。
大きさは、どんなに大きくても、マイクロフォーサーズのミラーレス一眼あたりまでに抑えるのが良いと個人的には思います。
一眼レフやフルサイズのミラーレスは、筐体が小さいカメラでレンズもキットレンズは小さいものもあります。
しかし、キットレンズで満足できなくなったときに買うべき性能の良いレンズは高くて重いものがほとんど。
金額的な負担や大きさと重さで持ち運ばなくなる可能性が高いと思います。
これは私の経験から言えることです。
サイクリングで持ち運ぶべきカメラについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
こちらも参考にしてください。
(※本記事は「ロードバイクで持ち運ぶカメラ〜初心者でもわかるカメラ選び」を2024年2月に全面リニューアルした記事です) 「カメラを持ってサイクリングを楽しもう」というスタイル・・・ […]
まとめ
今回は、カメラ(写真)という趣味とサイクリング(自転車)という趣味の両立について、私なりの考えをまとめてみました。
どちらも、趣味としては奥が深く、追求すればお金がかかる趣味です。
そして、カメラの持ち運びが場合によってはサイクリングの快適性をスポイルするような負の相互作用も生まれます。
しかし、スマホよりも綺麗な写真を撮りたい、もっと印象に残る写真を撮ってみたいという欲求を実現することは可能です。
ただし、カメラという趣味にどっぷりと浸からない(沼にはまらない)程度で楽しむという条件がつきますが。
私は、もともとはカメラが趣味で、ロードバイクは後から始めたという人間です。
サイクリングに持っていくカメラについては、私なりにいろいろと悩んでトライアンドエラーを繰り返しました。
ロードバイク歴3年目で、ようやくサイクリングに持っていくカメラの条件などがある程度見えてきたかなという感じになってきました。
まだ試行錯誤の状態は続くかもしれませんが、少なくともカメラとサイクリングと言う趣味は両立サせることができると思います。
この記事が、サイクリングにカメラを持っていくサイクリストの皆様、そしてこれからカメラを始めようと思っているサイクリストの皆様のご参考になれば幸いです。